ハイキング企画「2012.09 富士山 爽やか探検隊」 [ハイキング企画]
某月某日の某飲み屋。
爽やかクラブ父親の会。
元爽やかクラブ会長であり、現爽やかクラブ探検隊隊長がこう切り出した。
「だはは、富士山に行ったんだけどねぇ、7合目で引き返しちゃった。」
facebookで富士山に登りに行って撤退したのは判っていたけれど、5合目から登って7合目で撤退とは・・・
「僕も今年の6月末に本八合目の3350mで嵐に遭遇して撤退したんですよ。」
こうなるとリベンジという雰囲気になる。
「9月にリベンジしに行きますか?」
「だはは、行ってみようか!」
というわけで、9月第二週の週末に「爽やか探検隊の富士山リベンジ登山」が決まった。
当初、隊長は御殿場口から登ったというので、リベンジとして御殿場口から登る予定であった。
が、しかし、隊長の勘違いが御殿場登山口を通り過ぎたことにより発覚。
「ん、こんなとこから行かないよ!」 「えっ?」
実際は富士宮口から登ったようだ・・・。
というわけで、今回は富士宮口から登ることになった・・・
富士宮口の新五合目は、全部の登り口の中で最も標高が高い場所にあるため比較的短い時間で登ることが可能だ。
見ての通りなだらかな平均斜度約18°の斜面を1500m程登れば頂上にたどり着くわけだが、車で一気に2000mを超える場所まで登るため、高度障害に苦しむ人も多い。
そのため、富士宮口に到着後は直ぐに登山に入らず、仮眠をとるなりして2000mの高度に少し身体を慣らして行こうという作戦を立てた。
2012.09.15 15:30 出発。
まだ暑い湘南を隊長の車で出発。
下界は暑いなぁ、早く天上界の涼しい場所に行きたいぜ!
2012.09.15 19:31 GPS高度 2370m 富士宮口駐車場
9月だというのに駐車場には車と人で沸き立っている。
空いていて広い駐車場を見つけて、車を止めて手早く食事の用意をする。
振り向くと、静岡の街の明かりが綺麗だ。
隊長の自慢のテントを設営し、エアマットを膨らまして仮眠を取る。
出発は22:00と定めてテントの中へ。
しかし、夜になっても周囲の喧噪は増すばかりだったようで、隊長は眠れなかったという。
僕の特技は、どこでもどんな場所で短い時間でも瞬間的に寝ることが出来るため、周囲の雑音は気にならない。
友人からは、「良くあんなところで寝られるな」とか、「今寝てただろ!」とか言われるけど、そんなことはキニシナイ!
夜中から朝まで8時間立ちっぱなしで釣りをしていても、立ちながらマイクロ・スリープを繰り返しているため問題なし!
どんなに疲れていても、10分も寝れば気分スッキリ2時間は戦える!
だから、10分でいいから寝かせてくれ!(笑)★最近10分では足りなくなってきた気がする、3倍増しで頼む!
隊長は僕が寝ている間も、テントのガイラインを張ったりチョコチョコと作業していたようだ。
2012.09.15 22:00 GPS高度 2370m 富士宮口駐車場にて再起動
うーん、眠れたようだ。
隊長は眠れなかったとつぶやいている。
テントを撤収して、登山の準備を開始する。
さぁ、いよいよ富士山登頂に向けて出発!
隊長! よろしくお願いします。
真っ暗闇の中、ヘッデンの明かりのみを頼りに登る。
2012. 09.15 23:01 GPS高度 2326m 富士宮口登山道入り口
予定では、明日の午前中にはこの記念碑の前に二人で戻ってくる予定だ。
無事に戻れればそれで良い。
「生きて、戻る!」
大げさかもしれないが、今年も富士山で何人が亡くなったか・・・
登山道を登って直ぐのところにトイレがある。
寄っていこう。
2012.09.15 23:23 GPS高度 2468m 雲海荘
富士宮口最初の山小屋に到着。
ここはどうやら開いていたようだ。
トイレもある。
この先の山小屋は閉じられているので、登り最後のトイレだろう。
黙々と登ろう。
・・・・と思ったら、
何ぃ! 通行止めだと?
まさか?
うーむ、迷っていたら後ろからやって来た登山者が、問答無用で乗り越えて行ってしまった。
仕方ない、後に続くか・・・
★下山時にここに寄ったのだが、話を聞くと高山植物を守るためここを閉鎖したとか。
実はこの写真の右側に迂回の登山道が有ったのだという・・・判りやすく案内が欲しかった。。。
2012.09.15 23:25 GPS高度 2470m 宝永山荘
この山小屋は閉まっていたようだ。
2012.09.16 00:00 GPS高度 2776m 新七合目
暗闇の行軍は続き、時計は次の日を示していた。
隊長も僕もまだまだ余裕で登れている。
2012.09.16 00:43 GPS高度 2966m 元祖7合目
いよいよ、3000mを超えようかというところだ、ここからザレ場と岩場を登るのがキツく感じ始める所だ。
隊長は少し頭が痛いと言い出している。
僕も何かへんな感じだ、なんか・・・そう、酒をのんで酔っ払っているかのような足取りになっている。
いわゆる千鳥足っぽい。 狙ったところに脚を運んでいけない感じ。
これも高度障害なのか、しかもやたらと「あくび」が出るようになった。
酒は飲んでないぞ!
2012.09.16 02:31 GPS高度 3395m 9合目 萬年雪山荘
残念ながら萬年雪は無かった。
隊長は頭が痛いよ、眠いよと言いつつも、軽快に登って行く。
僕のほうは相変わらずの千鳥足、少し遅れ始めている。
隊長に追いつけない足取りだ。
この様子だと頂上に4:00登頂は厳しくなってきた。
2012.09.16 04:27 GPS高度 3699m 9.5合目
うっすらと、頂上らしき影が見えるようになった。
何故か、それまで千鳥足だったのが脚に力が入るようになった。
ようやく酔いが抜けたようだ。 (繰り返すが酒は一切飲んでいない。)
ようやく先行していた隊長の後ろに取り付く事が出来た。
もう少しで頂上だ!
2012.09.16 04:30 GPS高度 3708m 頂上浅間大社奧宮
最後は、隊長と共に頂上の鳥居をくぐってゴールイン。
いやぁ、お疲れ様でした。
休憩も多く、5時間30分も掛かってしまいました。
さて、疲れているところですが、日の出まで時間がありません。
ベストな撮影ポイントを見つけて陣取らないと・・・
上空の星と宇宙の黒、真っ青な空と登って来る太陽の強烈な光のコントラストが目を奪う。
それにしても寒い。
頂上に上がってから、風が強く吹きつけている。
気温は5℃を差しているが体感温度は0度を下回っている。
猛烈に寒いので、持ってきたものを全て出して着込む。
気がつくと、周りは登山者で埋め尽くされていて、こんなにも大勢の人々が富士山頂で朝日を固唾をのんで待っているのかと驚いた。
残念ながら遠くの雲に遮られており、太陽が出るためにはかなり高い位置まで登ってこないと見えない状態だ。
しかし、ここは風を遮るところが無いために、もの凄く寒い。
周囲の人達からも「寒いから早く出てくれ!」
という震えながら出る声が後を絶たない。
・・・しかし、ようやく・・・
御来光、バンザーイ!!・・・
とは、ならなかった。
「・・・うー、さびぃ・・・早くここから物陰に隠れようぜ・・・」
寒すぎてジョジョ立ちをする隊長。
とにかくどこかに身を隠して暖かいものを飲むなり、食べるなりしないとまずい。
日が当たり始めた斜面に行ってみたが、風があたるので無理。
山小屋の影に隠れて、ラーメンを作って二人でススる。
気分はシベリアの敗残兵だ。
寒い・・・。
身体を動かさないと駄目だな。
そうだ・・・、あそこに、とりあえずあそこに登りますか・・・
登れば嫌でも暖まるでしょう。
剣が峰の要塞の入り口には長い行列が出来ていた。
どうやら、剣が峰の石碑で記念写真を撮影するための行列のようだ。
遅々として進まない行列に並んでいると、立ちながら眠ってしまう自分がいる。
登ったお陰で寒さは消えたけれど、 眠気が襲ってきた。
2012.09.16 07:00 GPS高度 3774m 剣ヶ峰頂上
富士山剣ヶ峰頂上に隊長と共に立つ。
隊長、やりましたね。
この国でここより高いところはもうありません。
・・・という喜びよりも、「・・・眠いね・・・」の一言がようやく出るくらい。
どこかで仮眠をとりたい雰囲気だけど、頂上は風が強いので下山中に場所を見つけて寝るしかないな。
お鉢を巡りたい所だけど、今回はこのまま下山だ。
と、その前に要塞裏の影富士を狙おうと思って、去年入った場所を見に行くと・・・
うわっ、閉鎖されて入れないように雁字搦めにされている。
もうこの裏には入れないのか・・・残念。
じゃ、こっちは・・・
がーん、こっちも閉鎖されている。
うーむ、もう入れないのか。。。
そうすると、去年の写真が最後になるなぁ。
最後にお鉢や周囲の写真を撮っておこう。
さぁ、剣ヶ峰を下山しましょう。
さらば剣ヶ峰、また来年会いに来るぜ!
2012.09.16 07:17 GPS高度 3276m このしろ池
初冠雪が終わった後も度々雪が降っている富士山頂では、雪解けの泥の水たまりが出来ている。
しかし、これは水たまりでは無いらしい。
ちゃんと名前があって「このしろ池」というようだ。
初めて「このしろ池」を見たが、どう見ても単なる泥の水たまりにしか見えない。
「このしろ」とは、海の魚の鮗(このしろ)のことだ。
調べたところ、木ノ花咲耶姫伝説に関連があるようだ。
興味がある人は調べて見ると良い。
2012.09.16 07:26 GPS高度 3712m 御殿場口方面へ下山
富士宮口への下山道を通り過ぎた隊長。
「隊長、そっちに降りたら御殿場口ですよ。 車に戻れなくなりますよ。」
朦朧としているのかな・・・
「だはは、宝永火口を見ていこうと思ってね、それに富士宮口の下山道は登山者が多くて降りるのが大変だからね!」
頭痛い、眠い、寒いとつぶやく隊長だが、やっぱり寄り道だけは外さない。
しかも、富士宮口の混雑を見抜いている。 さすがは隊長!
しかし、御殿場口ルートから富士宮口へ抜けられるのかな?
「7合目から宝永火口へ抜けて、富士宮ルートに出られるハズだよ。」
地図を開いて確認すると確かにルートはあるようだ。
僕は宝永火口には行ったことが無い。
面白そうではあるが、どこかで休憩が必要だなぁ、、、と考えていた。
いよいよ、下山だ。
さらば頂上、また来るぜ!
・・・と思ったら、いきなり通行止め? なんぜだかよく判らないが、乗り越えて下山ルートへ。
下山開始から直ぐに、山肌に雲がぶつかって通り過ぎていく。
まさに今、雲の中に自分が居る。
ここまで降りてくると、風は和らぎ寒いという感覚はなくなって、涼しいと思えてくる。
雲の中をさらに降りると、視界がバッと飛び込んでくる。
うっひょー、超眺めがイイ!
なんだか、疲れとか眠気とか全部吹っ飛んでしまった!
走りたくなって、駆け下りてしまった。
爽快だ! 空を飛んでいるような感覚だ!
隊長を追い越して、随分走って下ってしまったようだ。
そのころ隊長は・・・ 靴に穴が開いてしまい追走出来なかったという。
2012.09.16 08:18 GPS高度 8合目 宝永火口を上から眺める
隊長はまだ降りてこないので、宝永火口を上から眺めたらどんな感じかな?
とおもって、ブル道を一人少し登って宝永火口を見てみた。
これが宝永火口か、巨大なアリジゴクだな。
下山道に戻ると、隊長が居たので合流。
2012.09.16 09:22 GPS高度 3124m 須走館
完全に閉じられていて小屋名も書いていない。
2012.09.16 09:38 GPS高度 3048m わらじ館
ここも閉じられている。
どうやら、少しはしゃぎすぎたようで、眠気も限界。
道ばたで寝ている人達を見つけると、僕たちも寝よう!
ということになり、隣に並んで寝させて貰った。
短い時間で、しかもゴツゴツとした火山礫の上だったけれど、これがなんというか・・・
ストーンと眠ってしまって、気持ちが良かった。。。
GPSログデータを見ると10分は寝ていたようだ。
2012.09.16 09:53 GPS高度 2788m 宝永火口分岐
ここを見落として真っ直ぐ降りてしまうと、御殿場口に行ってしまうので大変な事になる。
いよいよ、宝永火口を直接見るときがやって来たぞ。
おおっ、火口が見えてきた。
こんな場所が日本にもあるんだなぁ。
しばし、ぼーっと佇んで、次々に形を変える雲をずっと見ていた。
振り向くと、火口の荒々しさが目の当たりに見える。
2012.09.16 10:22 GPS高度 2708m 宝永山
先端は宝永山頂上となっていて行き止まり。
富士宮口からここまで、観光客が登って来ている。
普通のパンプスやスニーカーで登って来たお兄さんお姉さんやオバチャン、おじちゃん、子供、家族連れも来ているが、ここまでその靴で登って来るのは大変だっただろうな。
しかし、ここに苦労して登ってくる努力は、圧倒的な景色によって報われる。
今日僕も、この景色には圧倒された。
下に見える棒は何だろうと思ってよく見ると、「山体変動観測装置 -産業技術総合研究所 地質調査総合センター」と記載されていた。
下山は宝永火口内に降りる道を進むことになる。
2012.09.16 10:43 GPS高度 2443m 宝永火口
火口内部ではあるが、噴煙が上がったりはしていない。
一旦、火口の底まで降りて、富士宮口の6合目まで登るルートになるようだ。
絶景の連続でシャッターを押す指が止まらない。
ここに来てまた登りだが、仕方ない。
さぁ、最後の登りだ、6合目を目指して登るか。
2012.09.16 11:08 GPS高度 2509m 富士宮登山道6合目 宝永山荘
やっと6合目の宝永山荘に戻ってきた。
昨夜23時、あの柵を乗り越えて登ったワケだから、おおよそ12時間かけて戻ってきたことになる。
僕らが乗り越えた柵には、乗り越えられないようにロープが張り巡らされていた。
ここで隊長と共にジュースを購入して休憩。
僕はラムネを購入。 ジュワーという炭酸が喉にシミルっ!!!
うめぇぇぇ。
背負ってきたハイドレーションには、足柄SAで隊長と汲んだ「足柄の水」がまだ1リットルは残っていた。
「足柄の水」も旨い水で、この水のお陰でパワーを随分もらったような気がする。
ありがとう「足柄の水」。
2012.09.16 11:30 GPS高度 2401m 富士宮口登山道入り口
隊長と共に歩いた富士山の旅は終わった。
隊長、ありがとうございました。
とっても楽しい富士登山になりましたよ。
登山の疲れを分かち合った隊長と、ガッシリと握手。
隊長はまだ頭痛もあるようだ。
お風呂に入って仮眠を取りましょう!
そうすれば、頭痛も治まりますって。
2012.09.16 12:30 GPS高度 663m 御胎内温泉
温泉、温泉、オンセーーン!
・・・・と騒ぎつつ到着したのは「御胎内温泉」。
リーズナブルな価格で清潔、露天風呂も満喫出来る良い温泉であった。
牛乳はあったが、ご当地牛乳でなかったのが残念だが、プレミアミルクはなかなか旨かった。
これを6本一気飲み。
プハー、旨かったぜ。
食事もここで済ませてしまう。
16:00まで仮眠してから、帰途につく。
藤沢に戻って、21:00から居酒屋ナマズで打ち上げの酒宴。
撮り鉄S氏も参加してくれました。
やっぱり富士登山もやめられないな。
隊長、次はキャンプ計画を進めましょう。
・・・日本一高い山を目指した、爽やか探検隊の挑戦はひとまずは終わった。
おしまい。
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