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ハイキング企画「ソロハイク 南アルプス 甲斐駒ヶ岳」二日目 [ハイキング企画]

夜中に何度か突風に襲われるたびに目が覚めた。

テントが崩壊しないか?

それだけが心配だった。

 

寒かった・・・

たぶん-4℃から-6℃くらいまでは下がったんじゃないだろうか。

そんなことを考えていたら、またしても睡魔に引きずりこまれ・・・


2012.11.03 04:32 GPS高度 2048m 七丈小屋テント指定地

トイレに行きたくなって目が覚めた。

時計を見ると朝の4時半。

まだ太陽は昇ってきていないので、まだ暗いな。

度々目が覚めたものの、十分に睡眠は取れたようだ。

シュラフのジッパーを開けて上半身を起こす。

身体の異常は感じられない、手足も痛みなど無い。

今日も歩けそうだ。

 

テントのジッパーを半分開けて周りの様子を見る。

昨夜の強風は少し弱く変わっていた。

やった、風が弱いぞ。

靴を出してテントの外へ。

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テントの周囲をチェックしてみたが、ピンペグが一本だけどこかに吹っ飛んだ跡があったくらいで、他は無事だった。

頭上を見てみると、満月に近い月が煌々と照らしていた。

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残念だが、コンデジじゃ星を綺麗には撮れないようだ。(設定の仕方が悪いだけ?)

ヘッデンを装着してトイレへ。

脚を踏み外さないように登山道を小屋方面に下る。

誤って谷に落ちたら洒落にならない。

トイレはちゃんと開いていた、有り難い。

・・・

テントに戻ってシュラフにくるまって、バーナーを点火してお湯を沸かそうとした。

ボトルの中の水が凍っていた。

ラッキーなことに、完全に結氷していなかったので、氷を砕いて暖かいシュラフの中に入れて溶かす。

トイレに行ったときに、水を汲んでくれば良かった・・・。

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これでテント内も少しは暖まるだろう。

だけど、一酸化炭素中毒が怖いから、吹き流し口とジッパーは少し開けておく。

朝のコーヒーは欠かせない。

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今日の朝ご飯はコーヒーとツナとマヨネーズを混ぜてレーズン・パンに挟んで食べる。

ウィダーイン・マルチビタミン・ゼリーも美味しい、ゼリーは凍らなかったようだ。

外からの光が入るようになってきた。

テントの外にでて御来光を拝んでみよう。

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登って来た太陽が、山々を照らす。

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ここには、上にももう一つテント指定地がある。

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さて、テントをここにデポして最低限の装備で甲斐駒ヶ岳に挑むとするか。

気がつくと、風はそよ風程度に収まっていた。

良かった、これで心置きなく甲斐駒ヶ岳に行けそうだ。

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2012.11.03 06:16 GPS高度 2408m 七丈小屋テント指定地を出発。

上のテント指定地に到着してみると、一人の若者が出発の準備をしていた。

「ここにテントを張っていたんですね」

「行きましょうか」

彼は既にテントを撤収して背負っている。

ザックの軽い僕はそのまま軽い足取りで行けるが、彼はそうはいかないだろう。

下を覗くと、僕のテントがポツンと残されていた。

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無事にテントに戻ってみせる。

さぁ、行くぞ。

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ここから見上げると、ピークが見えるが、あれは八合目の御来光迎場ではないかな。

甲斐駒ヶ岳は花崗岩の塊と聞く。

登山道は白く細かい花崗岩の砂礫のようなザレ場の道となる。

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いよいよ、溶け残った雪がチラホラと見え始めてきた。

この後、どの程度の積雪が登山道を埋めているのか。

太陽を見ると雲海の上に力強く輝いているのが見える。

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振り向けば、八ヶ岳山塊も霞んでいるが見える。

 

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2012.11.03 06:50 GPS高度 2675m 八合目、御来光迎場(ごらいこうごうば)

講中(ごうじゅう)が御来光を見るために設けられた霊場だという。

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今回はテント場で御来光を拝んで来たで、次回はここで見てみたい。

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甲斐駒ヶ岳頂上はまだまだ先が長そうだ。

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日陰に入ると残雪が残っているが、予想よりは少ない。

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岩に鎖が取り付けられている。

階段のように足場が掘られているから、凍っていなければ昇りやすそうだが・・・

掘られた足場は凍っていてツルツルだ、足を掛けることは出来そうに無い。

アイゼンの前爪があれば楽だろうか。

仕方なく岩肌に脚を掛けて登って行く。

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日陰はこんな感じで、雪は少ないが凍結していて緊張する。

しかし、日向側に回り込むと雪や凍結路は一切無い。

そのかわり、岩をよじ登る登山道となる。

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もし、この岩肌が凍っていたらアイゼン無しでは撤退しなければならないところだ。

おや?

巨岩の上に何か付いているぞ。

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2012.11.03 07:17 GPS高度 2804m 三本剣、烏帽子岩

圧倒する巨岩の「烏帽子岩」。

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その上に付けられた三本の剣(つるぎ)はここが開山信仰登山の場であることを示している。

三本の剣は不動明王の剣を表している。

朝日に輝く三本の剣に感動した。

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なんという、荘厳な眺望。

たが、まだここは頂上ではない。

張り付いた雪と氷に気を付けつつ進む。

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2012.11.03 08:06 GPS高度 2946m 駒ヶ獄神社本社

地図で見ると甲斐駒ヶ岳頂上には2つのピークがあるように見える。

双児峰と聞いたことはなかったが・・・

その片方には「駒ヶ獄神社本社」がある。

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「だいこくさま」とよばれ尊崇されている大己貴神(おおなむちのかみ)大国主神が祭られている。

山旅の無事を祈りました。

ここで、テントを担いで登って来た、若人も追いついた。

 

 

さぁ、頂上まであと100mだ。

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少し下って、登ればいいんだ。

感動の頂(いただき)が僕らを待っている。

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左が北沢峠側、右が黒戸尾根側だ。

花崗岩の白と雪の白でわかりにくいが、残雪によって境界線が出来ている。

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北沢峠側への尾根道、結構な斜度になっている。

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7時間の道標の次は頂上まで5分という道標。

 


2011.11.03 08:17 GPS高度 2962m 甲斐駒ヶ岳頂上

甲斐駒ヶ岳(公称標高2967m)に登頂。

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ここまで到達するのに何時間かかったことか。

同時に到着したmakasioさんと写真を撮り合うことにした。

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風はあるが強風という程では無い。

全周ぐるっと撮るつもりだったが、動画を撮影すると直ぐに電池が切れてしまうようだ。 

静止画なら撮れるんだけどな・・・。

 

雲は遙か彼方にあるだけで、眺望は最高に良い。

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八ヶ岳
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鳳凰三山とバックに雲海の上に富士山頂が見える。

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同じ南アルプスの仙丈ヶ岳も白くなっている。

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三角点は一等三角点が設けられていた。

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無事の下山を祈っておく。

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アイゼン無しで良く登ってこれたもんだなぁ・・・。

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さらにもう一人単独で登って来る男性が到着。

昨夜、七丈小屋に居たシニアな登山者だ。

名前はk.yさん。

3人で頂上を楽しんだ。

「ああ、ここを降りたくないなぁ・・・」とつぶやいてしまうくらいの絶景だった。

 

makasioさんは北沢峠へ降りて行くという。

ブログをヤマレコに書いていると聞いた。

「必ず見ますよ!」

 

makasioさんが、僕の写真を撮っていてくれていた!

 

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ありがとう!

 

k.yさんは、アイゼンを履いていない僕を心配して僕と下ってくださるという。

共に黒戸尾根側へ下る。

さらば、甲斐駒ヶ岳、きっとまた登りにくるよ。

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2012.11.03 08:46 GPS高度 2967m 下山開始

makasioさんと別れ、k.yさんとの下りの開始。

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登りより下りのほうが滑り安く、緊張の連続だったがなんとかコケずに降りる事が出来た。

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ここも、無事通過。

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下山すると早いものだ、あっという間にここまで来てしまった。

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七丈小屋テント指定地までk.yさんと話ながら下山する。

ここを降りたら良いお風呂に連れて行って下さるというので、お願いすることにした。

しかし、僕はテント撤収に時間が掛かるので先に下山して頂くことにした。


2012.11.03 11:15 GPS高度 2456m 七丈小屋キャンプ指定地

テントに戻ってきた。

昨日の強風が嘘のように風が無い。

テントの中の道具を全て出し干す。

テントのペグを全部抜いて、テントをひっくり返して干す間に、コーヒーとSoyJoyと残ったパンで栄養補給。

単独行の男性と女性が上がってきて、それぞれテントを張るという。

昨日のテントサイトの様子と、今日の甲斐駒ヶ岳の頂上の様子を話すと、うれしそうだ。

これから登るか考えているのだろう。

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テント撤収は完了。
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テントサイトの奧がいいかもねとアドバイスした。

 


2012.11.03 11:20 GPS高度 2389m 七丈小屋

七丈小屋の前にザックを置いて、ボトルとハイドレーションに水を汲みに行く。

水場は凍っているが水は出しっ放しになっているので、汲むことは出来そうだ。

さらば七丈小屋、また登りに来たい。

k.yさんに追いつかないと。

 


2012.11.03 12:50 GPS高度 2226m 黒戸山近辺

ここまで一気に下ってきたが、登山者は20人くらいは居たように思える。

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しかし、k.yさんには追いつけない。

やっぱり1時間以上の間を埋めるのは無理か。


2012.11.03 13:08 GPS高度 2115m 刀利天狗

やっと刀利天狗にたどり着いた。

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先はまだまだ長い。


2012.11.03 13:25 GPS高度 2011m 刃渡り

ここまで来ると、刃渡りが怖いという感覚が薄れているようだ。

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刃渡りの上から切れ落ちた斜面を撮影する余裕まで出た(笑


2012.11.03 14:11 GPS高度 1639m 道祖神

黒戸尾根の森の中が長い・・・・ひたすら歩く。

登って来た時に撮影した箇所にたどり着くと、安堵感と「まだ、ここだったのかよ」と失望感が混じる。

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2012.11.03 14:32 GPS高度 1506m 道標

やっと、道標か・・・。

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2012.11.03 15:25 GPS高度 1062m 尾白川渓谷道合流

やっと黒戸尾根登山道が終わった・・・

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2012.11.03 15:55 GPS高度 808m 吊り橋

もう少しで駐車場だ・・・

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2012.11.03 16:03 GPS高度 815m 尾白渓谷駐車場

k.yさんは既に駐車場に到着しており、30分ほど待たれたようだ。

長かった甲斐駒ヶ岳ハイキングもコレで終わりかと思うと少し寂しい気もしたが、今はそれより温泉だ!


2012.11.03 16:20 「尾白の湯」

k.yさんと共に、「尾白の湯」へ。

大人700円、露天風呂から八ヶ岳(編笠山、権現岳)が見える良い温泉でした。

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そして、ここには八ヶ岳乳業の牛乳が置いてあったのでした。

素晴らしい味、ウマイ!

k.yさんと山話で盛り上がり連絡先も交わしました。

(k.yさんが帰宅したあと、3本牛乳を追加です! )

 

makasioさん,k.yさんとは、いずれまたどこかの山でばったり出会うのではないかと思います。

そのときは、歩いて来た山の話をしましょう!

 

この山旅で出会った人々、考えたこと、向き合った壁、ずっと忘れません。

自分の力量も判ったし、少しだけ自信もついたと思います。

 

ありがとう南アルプス。

ありがとう甲斐駒ヶ岳。

ありがとう、山で出会った「山友」よ。

これからも地に足を付けたマイペースの山旅を続けたい。

 

自らを見つめ直す、孤高の一人山旅はこうして終わった。

おしまい。


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コメント 4

makasio

お疲れさまでした。makasioです。
素晴らしい山旅でしたね。
未だに思い出して、にやけてしまいます。
無事に降りられて何よりでした。温泉。いいなあ。

また、会いましょう。
ヤマレコにも遊びに来てくださいね。
by makasio (2012-11-12 19:53) 

onozone

読んでくださってありがとうございます。

黒戸尾根と甲斐駒ヶ岳、夢のような2日間でした。

また登りに行きたい山でした。

僕も北沢峠に行きたかった。

今度は南アルプスの女王「仙丈ヶ岳」にまで脚を伸ばしたい。

ヤマレコも良いブログツールありますね。

makasioさんの通ったルートを3Dでずーっと見てみましたよ。

健脚ですねぇ、恐れ入りました。

ブログ見ます、コメントもいれますよ。
by onozone (2012-11-12 23:21) 

山おやじ

お久しぶりです。
自分が登ったような気分でブログ拝見しました。
風は相変わらずのようでしたが天気も良く甲斐駒からの
眺望も最高でしたね。
(夜中にペグを持っていかれる程の風は強烈ですね)

屏風岩の梯子も見覚えがあります。
最後に甲斐駒へ行ったときには七合目あたりからのラッセルが
手強かったことを思い出しました。
ただ、五合目の小屋が無くなってしまったのは残念です。
冬期は開放してくれていたのでお世話になっていました。

また、そのうちどこかへ行きましょ。
へばせば。

by 山おやじ (2012-11-24 01:42) 

onozone

お久しぶり・・・という程でも無いとはおもいますが。

山おやじの鳳凰三山に刺激されたというのが本音です。

いつも山おやじのテントにお世話になっていて、自分で担いで歩けるのかを自分に問い詰めてみたかった・・・。

ペグについては、花崗岩の砂混じりのテントサイトで刺さりやすい反面、短い軽量のペグでは抜けやすいことが良く判りました。
テントサイトには長い鉄製のペグが用意してあったのに、折角持ってきた自分のペグに固執してしまったのが良くなかったです。

僕も事前の調査で五合目小屋の廃屋があることをネットで見ていたので、期待して行ったんですけどもうありませんでした。

真冬にあそこに行ったんですね、流石です。
今はもう雪も積もったんじゃないでしょうか。

さて、雪の本沢温泉にいつ行きましょうか?

by onozone (2012-11-26 20:12) 

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