尾瀬から戻って、自宅でテントを干していた。
夏期休暇中であったが、やっつけなければならない仕事があるが、その後でどこかの山に行けそうな時間が2日ほど取れそうだった。
槍ヶ岳に登って見ようかな・・・
しかし、夏休み中の上高地の混雑を考えると嫌になる。
そうだ、こういうときこそ南アルプスだろうな。
北アルプスに比べれば、人混みの規模はかなり小さいのが、喜ぶべきか悲しむべきか。
とにかく今回は南アルプスに山行だ。
ターゲットはもちろん、日本第二位の標高を誇る「北岳」(3193m)で、日本第四位の間ノ岳(3189.3m)までの標高3000mを越える稜線歩きを楽しむルートに決めた!!
そして、今回の山行の相棒は、友人の鶴田君だ。
さて、どんな山行になっただろうか?
2013.08.14
昼間の仕事を適当!?に片付けて、夕刻に自宅に戻り山行の支度をする。
尾瀬で使用したテントも綺麗に片付けが終わっているのでパッキング。
何度も何度も脳内シミュレーションをして忘れ物が無いようにしても、毎度の事ながら何かしら忘れてしまう。
今回も重要な「あれ」を忘れてしまう。
なんと、忘れたことにさえ気づかずに、山で無くしてしまったと勘違いして意気消沈してしまうのだった・・・
今回は鶴田君の運転する車で南アルプスの「芦安(あしやす)」まで移動する。
南アルプスの北岳に登る訳だが、初北岳登山なのでメジャーコースから挑むのが良いだろう。
南アルプス街道にある「広河原」から登るのが北岳メジャーコースだろうと判断し、またこの急登を登り切ってみたいという思いもあった。
南アルプス街道は一般車両の乗り入れは禁止であり、「芦安」の無料駐車場に車をとめてからバスや乗り合いタクシーに乗って「広河原」まで移動するのが基本だ。
「芦安」から「広河原」までのバス代は1000円だ。
★初日のルート
「広河原」から歩くことになり、「大樺沢(おおかんばざわ)」沿いの急登を登り、「北岳バットレス」を右手に望む「左俣コース」を登り、「八本歯のコル」に出るルートだ。
2013.08.15 01:00 芦安駐車場
予定通り早めに芦安駐車場に到着。
既に多くの車が駐車場に止まっているが、 駐車スペースは直ぐに見つかった。
とりあえずバス乗り場を確認して、広河原行き5:10発の始発の時間をチェック。
広河原まで50分の道のりのようだ。
タクシーもあるが料金は同じく1000円。
「南アルプスマイカー規制協力金」という道路保全のために100円を追加で徴収され、合計1100円で広河原まで行くことが出来る。
4:00まで車内で仮眠を取ることにした。
2013.08.15 04:00 芦安駐車場
まずまず仮眠は取れたようだ。
あくびをしながら、準備を始めよう。
テントは・・・ok、靴下も靴もok、・・・なんか忘れてないかなぁ・・・
周囲の車から準備を始める人達が、ワラワラと車から出てきた。
さぁ、もう行くかバス亭に並び始めているようだ。
04:30、バス亭には乗り合いタクシーが車列をなしていた。
バスは05:10発だが、タクシーは準備でき次第出発という。
料金が同じだから、タクシーでいいか。
タクシーと言っても、セダンでは無い。
運転手を含めて14人乗りのハイエース・コミューターだ。
全員のザックを収納するため、最後部座席を折りたたみ搭乗人員10人となる。
夜叉神峠を登り、夜叉神ゲートを通過し南アルプス公園線へ。
もうそのあたりの意識は無く、爆睡していたけれど。
2013.08.15 05:29 GPS高度 1449m 広河原
既に周囲はすっかり明るくなっていた。
鶴田君よろしく、頑張って行こう!
広河原インフォメーションセンター、登山者でいっぱいだ。
結局なかをよく見ることが出来なかった。
舗装路をゲートを越えて「広河原橋」を目指して進む。
野呂川の河原は確かに広い。
霞んでいるが、大樺沢の向こうに北岳山頂が見えた。
広河原橋は長い吊り橋だが、あまり揺れないしっかりとした橋で眺めも良い。
吊り橋を渡った先は登山道となる。
甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根へのアプローチもこんな感じだったが、吊り橋といい、河原のスケールはこっちの方が大きい。
上高地の横尾大橋と比べても広河原橋の方が長いかも?
吊り橋を渡るとスケールの大きい山旅が始まるような、高揚感が全身を覆う気がする。
「ああ、楽しみだなあ、どんな山道が待っているんだろう!」
最近は、汗が滝のように流れる山の坂道が楽しみでしょうがない。
尾瀬峠の急登もなかなかだったけれど、距離が短い。
北岳大樺沢左俣は楽しませてくれそうだ。
吊り橋を渡った先を右へ。
広河原山荘があり、テント場もある。
既に何張かのテントも張ってある。
ここで、のんびりテント生活を楽しむというのもアリかもしれないが、やっぱり登りたくなってしまうだろう。
南アルプスの水を汲んで山に登ることも出来るようだ。
コンビニで水を買ったからなぁ。
登ってから山荘で汲む予定だ。
2013.08.15 06:41 GPS高度 1532m 登山口まずは白根御池方面へ進むが、途中から大樺沢沿いのコースで登る。
いよいよ、ここからが山道の本番。
大樺沢沿いの登山道は涼しいが、林を抜けると太陽光を直接浴びそうだ。
これは暑くなるぞ。
気温は18度、この先もう少し上がるだろう。
大樺沢の登りはまだ始まったばかりだ。
長い・・・一体どこまでこの沢を登れば良いんだ。。。
燃料を補給だ。
2013.08.15 08:14 GPS高度 1983m 雪渓
雪渓が現れ始めた。
大樺沢の丁度中間地点になる。
雪渓は固くしまっている。
もし足を滑らせたりしたら、そのまま沢に滑り落ちてしまいそうだ。
左に進めば「左俣コース」で「八本歯のコル」に出る。
ここからは高山植物の花畑が続き、とても綺麗だ。
雪渓の雪で雪だるまを作っておいてきた。
長い上り坂、2回目の燃料補給を行う。
まだ先は長い。
本当にキビシイ登り道が続く。
大樺沢の沢登りは終わった・・・
そして、いよいよハシゴ地獄が始まる。
2013.08.15 11:31 GPS高度 2743m ハシゴ
何しろこのルートには目印らしいものが少ない。
とにかく一直線に直登するしかない。
大樺沢の沢登りは終わったが、ここからは岩壁に掛けられたいくつものハシゴを延々と登る事になる。
そして、天気は下り坂になってきた。
下を見ると下界は晴れているが、この高度の天気はやばそうだ。
トイ面にある「地蔵ヶ岳」 も曇ってきたのに、広河原を見ると晴れている。
不思議な天気が丸見えだ。
一体何個のハシゴを登ったのだろうか・・・
NHKの「日本百名山」の「北岳」の解説を見たところ25本のハシゴがあると言っていた。
汗が滝のように流れて落ちる、気持ちいい!!
2013.08.15 12:02 GPS高度 2869m 八本歯のコル
やっと、「八本歯のコル」に到着。
出発してから既に6時間が経過しようとしている。
周囲は真っ白で何も見えない。
この先もまだまだ登りが続く、「北岳」へはさらに400m以上の急登を登らねばならない。
このまま「北岳」に登るか、「北岳山荘」のテント場に行くかを考えなければならない。
ここからは岩尾根を登ることになる。
八本歯の尾根は深い霧に覆われて見渡せない。
キビシイ環境でもけなげに花を咲かせている。
ちょっと、下を見てみた。
落ちたら間違いなくあの世行きだな。
真っ直ぐ直登すると北岳頂上というところで、雨が降り出した。
止むかもしれないと思うと、あまり雨具を着たくない。
しかし、雨脚は強まるばかり。
仕方なく雨具を装着する。
この岩場でザックを開けて雨具を着込んだため、何かモノを落としてしまったのではないか?
と、思ったが雨がさらに強く降る前にそそくさと移動することにした。
2013.08.15 12:54 GPS高度 3000m 北岳頂上直下のトラバース道分岐点
頂上までのコースタイムは50分と書いてある。
しかし、、、
折角頂上に登るなら晴れて見晴らしが良い時に登りたいし、今はテントに逃げ込みたいので本日の登頂は断念して「北岳山荘」に向かうことにした。
「雷鳥か!?」と思ったが違った。
ホシガラスでも無いようだ。
トラバース道だからと言って楽な道ではないようだ。
中央アルプスの木曽駒ヶ岳のトラバース道もそうだったけれど、山頂の斜面の細く狭い道を歩くことになるから、下を見るとヤバイくらい切れ落ちていたりするんだよな。
おお、ようやく「北岳山荘」が見えてきた。
雨はパラパラと降ったりやんだり・・・
2013.08.15 13:47 GPS高度 2895m 北岳山荘
北岳山荘に到着。
疲れた~、まじで疲れました。
とりあえず混み混みの北岳山荘フロントで、テント場を借りる手続きをした。
一人600円でテン場を借りる。
何故か北岳山荘の入り口の写真が無かった、疲れ切っていたんだな。
立派なトイレ棟側は殆ど埋まっていたが、中白根山側は山荘に遠いせいかテントは3つしかなかった。
今回テントは各々で張る予定で2カ所のテント場を使う予定だ。
早速テントを張ろうとした時、一気に急激なゲリラ雷雨のような激しい雨が降ってきた。
「張ってから降れよ!!」と叫ぶが空しく雨音にかき消された。
すると、鶴田君。
「済みません、テントのポールを忘れてきたみたいで・・・・」
マジかよ。
二人用のテントで良かった・・・
激しい雨の中テントを張り終えて、テントの中に座り込む二人。
ともかく雨が止んでくれるのを待つしか無いね・・・
テントの中で横になっていると、、、睡魔が・・・
2013.08.15 16:29 GPS高度 2895m 北岳山荘 幕営地
雨があがったようだ!
早速、外に出て缶ビールを買いだし(ジョッキで生ビールも売っていたが)、景色の良いところで乾杯をしたかった。
つまみを持ち出して、岩山の上で乾杯!!
北岳山荘の向こうに盟主「北岳」(3193m)が見える。
南東には富士山が見えても良いはずだが、明日に期待しよう。
北西側には南アルプスの女王「仙丈ヶ岳」(3033m)
南西方面には、間ノ岳(3189m)。
ビールとつまみを飲んだ後は、テントでご飯を作ろう・・・
「あれ?、あれれ・・・・無いぞ、バーナーセットが無い・・・」
ああ、もしかしてレイン装備を出したときに落としてしまったのか・・・・
仕方なく、鶴田君のバーナーを借りて、アルファ米を炊くがバーナーを無くしたショックか、酔っ払っていたのか、ご飯を落としてしまう。
なんてこった・・・今日は疲れているんだ喰えるモノを喰って寝てしまおう・・・
夜中にトイレに起きたところ、天の川がハッキリと見えた!
こんなに素晴らしい天の川は久しぶりだ。
今日は月が出ていないからなぁ。
コンデジで天の川撮影を試みたがノイズだらけで旨く撮影出来なかった。
でも、明日の天気は期待出来そうだぞ。
南アルプスの盟主への登頂と3000mの稜線を歩く旅は明日に続く。
2013-10-01 00:53
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